『心理学者、裁判と出会う―供述心理学のフィールド』
- 作者: 大橋靖史,高木光太郎,森直久,松島恵介
- 出版社/メーカー: 北大路書房
- 発売日: 2002/04/01
- メディア: 単行本
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このテキストは、犯罪心理学の根幹を成す3つの研究分野(犯罪者について、被疑者について、市民について)のうち、被疑者に焦点をあてたもので、主に裁判や再審請求における供述調書をいかに心理学的に読み解くか、について書かれている(そういう意味で、この本は学術書ではないといえる)。もちろん、本の最初は自分達がいかにしてこのような仕事(?)に関わるようになったかや、鑑定書の分析に必要な諸理論の説明などに終始していて堅苦しさを感じるが、あとのほうに出てくる実際の鑑定内容の一部を紹介しながら読み解く時に、その説明がじわりと効いてくる事は否めない。まあ、確かにより深く知るには認知心理学系の理論や用語を知っておいたほうがいいが、そうでなくともある程度は読める。わりと優しいテキストだと思う。何より、著者が苦労に苦労重ねながらその鑑定書に見合った分析方法を探していく姿にはかなり感情移入してしまう。
余談かもしれないけど。この時に書いた「エスノメソドジー」がこの本では大いに取り上げられているので、なんというか関心を満たされて私は大満足したのでした。
……なんか小説の感想みたいになったな。別に書き分けようとは思ってないけど。