第309飛行隊 C格納庫

卯月薫(うづき・かおる) アマチュア小説書き&ゲーム実況(はてなプロフに各URLあり〼)。マンガ、アニメ、映画、小説、ミリタリー、警察、TRPG、猫、ゲームなど。たまに自炊画像。  ※注意※  不適切なコメントは予告なしに削除する場合がありますのでご了承下さい。リアルの常識などは言うに及ばず、ネチケットもしっかり守りましょうw since 2005.12.22 当ブログはAmazonアフィリエイトを利用しています。

鯨まかせなツーリング

時刻は多分0645時くらいだったと思う。その時私はまだ夢の中で、もの凄くいい夢だったんだけど途中から雲行きが怪しくなって今まさに予想通り悪夢のクライマックスに突入するところだった。が、そこで父親に布団を剥がされた上にゆさぶり起こされた。
「行くぞ」
「(いきなりどこへだ!? と思いつつ)どこに?」
「館山に鯨弁当を食いに」
「!!」
あー、いきなりこんな話が出てくるのには理由がありまして、まず第一に4年くらい前に読売新聞の日曜版にJR館山駅の近くに鯨の弁当を売っているお店があるという載っていた事、第二に私も父も(食材としての)鯨が好きだという事、第三に私のバイクがやっとマトモに乗れる状態になってまさに昨日バイクとライダー共々ロングツーリングができるだけのポテンシャルを発揮した事、以上の3つの理由が父にこのような決断をさせたのだと推測されるのです。
「眠いんですけど」
「早く着替えろー」
そう言い置いて部屋をあとにしていく父。一応言っておくと私はこの日、恐らく2時間くらいしか寝てないと思われる。なぜかってそれは簡単。昨日のツーリングについてのエントリが納得いく内容に仕上がったのが午前4時過すぎだったからだよ!*1
さてさて昨日の疲れが抜け切れていないせいで非常にグロッキーな私の明日はどっちだ!!
……長いなあ。毎度の事ながら、朝の国道16号線の信号待ちはとにかく長い。――交通量に大して道路の幅の狭さと青信号の時間の短さが主な原因だと思う。で、そんな長い信号待ちが延々と続く状況に飽きた父親はこう私に提案するわけです、「車列の間をスリスリヌケヌケしようよ!」と。まあ、却下ですが。まだ自分のバイクの運転にさえ充分に操れないというのにそんなに危ない事ができるか! もちろんその私の意見に父は不満たらたらの様子だったけれど、それはしっかり無視しておいた。
浜野付近で裏道(?)に入る。元が田んぼのせいで歪んだ道路を走り、バイクでは初めて踏み切りを越えたりしてわりと快適に進む。そうして渋滞を迂回して16号に再び合流。右や左に延々と石油コンビナートや製材所、ときおりコンビニやガソリンスタンドを見ながら「ここで外国から日本の工業を支える原材料を陸揚げしてるのかぁー」などと感心してみたり。なるほど蘇我駅でよく見かける貨物列車や石油なんかを運ぶタンカー列車はここから出ているのか。
市原をすぎた辺りだったか、徐々に道が田舎っぽくなってきた。トンネルを走ったり下に畑や川の見える土手の道を走ったり、むせ返るような花の匂いに顔をしかめたりと、これぞ正にツーリング! という情景だ。日が高くなってきたおかげで風はポカポカと気持ちいい。都会のように所狭しとひしめく住宅街などというものはなく、畑や田んぼの中に立つ一軒家は古き良き日本の風景というものを若い私に教えてくれる。同じ千葉県内だとは到底思えない、ジブリ映画の中に迷い込んでしまったかのようだ。もっと風景を撮影する余裕があったらよかったのに。
えーと、正確に場所を言い表す事はできないのだけど、「あ、あのコンビニの駐車場見て! ハーレーの団体さんだ!」と目の悪い父親に代わって教えてやったしばらく後、父親のVTがついにリザーバータンクに突入!*2 昨日のツーリングのあと給油してなかったからな〜。
「次見えたスタンドに入るから」
「む、スタンド発見!」
「(……って通り過ぎてるし!)オイ!」
「ごめん、ちゃんと見てなかった」
「なんだそれは!」
「次は入るから」
「(……ってまた通り過ぎてるし!)オイコラァ!」
「つ、次こそ入るよ〜(汗)」
ってなやり取りののちにようやく給油。そこは今や珍しい純粋な個人経営のガソリンスタンド。まったく場所は違うけれど、自分がガソリンスタンドでバイトしていた時の事を思い出して涙が出そうになった。こういう人の温もりが感じられるガソリンスタンドはいつまでもなくならないで欲しい。そう切実に思わずにはいられない。
「この道(ガソリンスタンドの前の道)を500メートルも行くと右側に海が広がるよ」ガソリンスタンドのおばあちゃんがそう教えてくれた。今まで右側は大抵山だったのでにわかには信じられなかったが、いかにも田舎の佇まいを残す町*3を抜けると本当に右手は海になった。道は崖に沿うように作られていて、左側に走る線路は内房線のそれで、蘇我を通った電車はこんな所を走っているのかとびっくり。そりゃ台風の時は遅れたり止まったりするわけだ。この道路だって酷い雨が降ったり高潮が発生したりしたらひとたまりもないだろう。こんな場所に住んでいる人達は都会の我々と違って先祖代々大変な思いをしてきたに違いない。
崖に沿って作られた道路だけあって、トンネルや急カーブが多い。高速道路だけ走っていたらこんな心地いい緊張感は体験できないだろうな。もしハンドル操作を誤れば崖から海に転落するか民家に突っ込むか、はたまた対向車線の車に気持ちいいくらい見事に轢き飛ばされるんだろうなあ。――いやはや、安全運転安全運転。
そうこうしているうちに金谷に到着。釣り宿や明らかに漁師をしていると思しき民家が多数。町全体に潮の匂いが漂う……。懐かしい匂いだなあ。*4鉄腕DASH!」のように波止場のほうには行かなかったけれど、道端で網を縫うじーちゃんいたりヤ○ハのボートショップがあったりと、この町の人々が海から多大な恩恵を受けている事が窺える光景にたくさん出会った。道が狭くて曲がりくねっているのには閉口した。私はさぞかしヘタっぴなライダーに見えただろうな……orz
目的地、館山に到着! と、遠かった〜。家を出発して3時間くらい経っている。まあ、高速を使わなければこういう事態にもなろう。……って、JR館山駅までの道は誰も知らないのですが、困ったネ。
海岸っぺりのトイレで本日2回目の休憩中*5、ふとローター音がするのに気付いて海の方を見ると海自の白いUHがそう遠くない海の上を飛行しているのが見えた。時折千葉市内の上空も飛行するこのタイプのUHはほぼ間違いなくここからほど近い海上自衛隊・木更津航空基地から離陸したものだ。こんなに大きい機影を拝めるなんてまさに夢のような光景だ! いやいや、初めての経験ではないのだけど、やっぱり何度見ても興奮するものがある。休憩を終えてバイクをスタートさせたらなんと偶然にもUHとランデブー!! こんな機会も偶然も滅多にないもんだから思わず「イヤッホゥゥゥゥゥゥゥゥイ!」と叫んだ!
駅への道を探す事しばし、狙ったのかどうかは知らないが海上自衛隊・木更津航空基地最寄りのコンビニで本日3回目の休憩。父がコンビニで食べ物と飲み物を購入している間に私は道路を挟んで反対側の基地のフェンスに張りついていた。右手奥に滑走路が見えて、2機駐機しているうちの奥の1機がアイドリング中で今にも飛び立ちそうだ。こんな近くに航空機を飛ばす自衛隊の基地があるのは正直羨ましくもある。ピザパンとコーヒーを飲んで、目の保養に基地の周りを一周……はできなかったけれど、初めてオフロードを走って*62年ぶりくらいにUHの着陸*7を走るバイクの上から間近で目撃して再び駅を探す道程に戻った。
結論から言えば駅は見つかった。が、その方法はちょっと人に言うのは恥ずかしいかもしれない。なぜなら我々が使った手段は「駅行きと思われる路線バスのあとにひたすらついて行く」だったからだ。んー、勝手のわからない土地ではなかなかいい手段だとは思うのだが……小説のネタにはなるかもしれないなあ。
JR館山駅は思っていたよりもずっと綺麗な建物(失礼)で、その外観はJR銚子駅を彷彿とさせる。港町ではこういうデザインがしっくりくるのかもしれない。と、その改札近くに今回のツーリングの第一の目的である鯨弁当を売っている「喫茶店マリン」はあった近くの有料駐車場にバイクを停め*8、注文をする事10〜15分くらいで弁当が手元に。我々の他にも客がいて「くじら弁当」を注文していたので結構な人気商品のようだ。1日限定30食はダテじゃあないな!(笑)
さて、目的の品も手に入れた事だし、一応これで旅は折り返したという事になる。先程寄ったトイレのある海岸で弁当を食す事になった。空は雲っているが、なんというベストロケーション!

↑鯨のイラストがなんともカワイイ。一応駅弁だそうで、確かの包装の仕方も駅弁のそれだ。1つ1000円。

↑包装紙を取ったところ。木の箱に見えるけれど、全てプラスチックでできている。女性でも食べきれるサイズの大きさ。

↑手前から鯨のそぼろ。卵そぼろ、鯨の大和煮(薄く切った生姜入り)。今まで食べたどの鯨とも味が違っていて「鯨を醤油で煮るとこんなにうまいのか!」と勉強になった。汁気はほとんどないので傾けても多少は平気だが、さすがに逆さまはマズイからやめておいたほうがいい(苦笑)


さて、腹もいっぱいになった事だしとっとと帰りますかねぇ、という事で帰りは富浦から高速に乗り、1度休憩を挟んで穴川まで走る。途中崖っぷちに建てられた魔女か偏屈な世捨て人じいさんが住んでいる洋館を見たり、やっぱり鋸山は寒いと改めて思ったり、*9蘇我インターをすぎた辺りから現れ始めたトラックが巻き上げる砂塵でアゴが削られたり*10した。今回は本当に疲れたなぁ〜。あ、そういえばわれわれ以外にもいくつかツーリングのパーティを目撃した。まあ、春と秋はツーリングにはうってつけの季節だからね。この機会を逃さない手はない、というやつだ。
ちなみに、スピードメーターは相変わらず故障していたので怖かった。それと、初めてカタナを間近で見たよ! さすがにカスタム(レストア?)されていたけれど、やはり雑誌で見た通りかなり独特なフォルムをしている。これはもやは芸術なんじゃないだろうか?


次は同じ鯨でも千倉の「白鯨亭」の「くじら丼(780円)」を食べに行きたいなー。そうなると外房を走る事になるのか!

*1:1時間半も録画しておいたドラマなんて見てるから〜。

*2:工業地帯を走っていた時から「そろそろ給油しないと」とは(主に父が)言っていたのだが、価格の値踏みをしているうちに段々と件数が減っていってしまったのだ。

*3:ここの交差点で信号待ちをしている時、父に「この先はカーブが多くなるから気をつけるように」と言われた。

*4:昔はよく父親に釣りに連れて行かれていた。

*5:1回目はガソリンスタンドにて。私はオ○ナミンCを「元気ハツラツぅ〜」と言いながら飲んだ(笑)

*6:本当にヒドイ道だった!

*7:ローター音とエンジン音が実に懐かしい!

*8:20分までなら無料なんて素晴らしいシステムだと思うのだがどうだろう?

*9:行きもそうだったが鋸山を通る道路は他の場所に比べて異様に空気が冷たく、寒い日の秋のような感じ。どうやら地形の影響でそうなるようだ。冬は道が凍結するんじゃね?

*10:砂自体は目に見えないのでかまいたちに遭っているような感覚。傷ができなくてよかった!