『キノの旅―The beautiful world』
キノの旅―The beautiful world (電撃文庫 (0461))
- 作者: 時雨沢恵一,黒星紅白
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2000/07
- メディア: 文庫
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以下、ネタバレあり。
短編形式で語られる旅路は、つまりは人々のエゴで出会う旅なのだ。この作品は全て人間のエゴを題材にしている。行く先々で出会う人達のエゴに対し、キノは自身の感想や意見を述べこそすれ、基本的には何もしない。恐らく真にエゴと向き合うというのはそういう事なんだろう。口先でそれを否定するのは簡単、しかし正すのは至難を超えて究極。中途半端ではいけない。綺麗事でもいけない。ましてや正すなんて行為自体が新たなエゴの押し付け。人間は果たしてエゴを切り離す事ができるのか? 否、生きている限りそれは不可能。*2わかっていたつもりだったけれど、改めてこうして見せつけられるとなかなか辛いものがある。しかしこれは「無知の知」というやつなんだろう。自身がエゴイストである事を知る者はそうでない者とは違う行動を取る事ができる。自覚があるかないか。これはエゴ以外、つまり私達の身近な事象にも言う事ができる。たとえば自分が活字中毒なのかそうでないのかとか(苦笑
正直読後はかなりよろしくないけれど続きが読みたいと思わせる1冊。アニメも見てみたいな……。