やってくれるぜ、毛利元貞!!
*1 ストーリー展開は『極大射程』、一部にスネークと同じ台詞あり。それに
ドラグノフまで登場という……なんというか色んな意味で内容が濃い。でもわかる人にはわかる面白さ満載!! これはあの人に薦めないわけにはいかない! しかしまあ、自分でも知らぬうちに他人(しかも往々にして、自分の気に入らない人物だったり)の思い通りになっていたと思い知った時の、あの耐え難く、腹が煮えたぎるような屈辱感と敗北感。あまり身近な存在ではないのに、なぜか感情移入してしまう……不思議だな。他人の作品を読むと言う事は、ある種、作者の体験なり想像なりに基づいて作られた世界を疑似体験しているのだと思う。だから、非日常的な世界に身を置く主人公にも同調してしまうのだ。ところで、私はあとがきを楽しみにしていたのだが、遂にそれを読む事はできなかった。毛利氏は自らの作品についてどう考えているのか、とても気になっていたのだ。彼はどんな思いで鞍馬を、フィルビーを、バージェスを、そして犠牲者達を見ていたのだろう……どうして鞍馬を日常に戻させなかったのだろう――戦場にハッピーエンドはあり得ないからだろうか? そもそもなぜこの小説を著そうと思ったのだろう。疑問は尽きない。……つまり、私は彼は何が言いたかったのかという事を、本文でわからなかった分、あとがきで推察しようと考えていたのだ。それはさておき、本全体をくまなく見ていて驚いた。発行日が購入日――3月18日と重なっていた!! 要するに、私は発売したてほやほやの第1刷を手にしたというわけだ。こういう偶然って、あるものなのだなあ。なぜか、感心してしまった。