第309飛行隊 C格納庫

卯月薫(うづき・かおる) アマチュア小説書き&ゲーム実況(はてなプロフに各URLあり〼)。マンガ、アニメ、映画、小説、ミリタリー、警察、TRPG、猫、ゲームなど。たまに自炊画像。  ※注意※  不適切なコメントは予告なしに削除する場合がありますのでご了承下さい。リアルの常識などは言うに及ばず、ネチケットもしっかり守りましょうw since 2005.12.22 当ブログはAmazonアフィリエイトを利用しています。

『バウンティハンター 賞金稼ぎ 日本人ただひとり、殺しのライセンスを持つ男』

アメリカにはFRA(Fugitive Recovery Agent=逃亡犯人逮捕連行捜査官、通称:ガバメント・キラー、バウンティハンター、ベイルエージェント)という制度がある。主な任務は、犯人が逮捕されてから裁判が始まるまでの時間を一般社会(シャバ)で過ごす代償として、家族やベイルボンズ(保釈金立て替え会社)が裁判官に支払った保釈金を踏み倒し、挙句の果てに開廷日になっても法廷に出頭しなかった輩を捕獲する事だ。また、個人の依頼(大体は「家出娘を連れ戻してくれ!」といったようなものだ)、警察・FBI・USマーシャル(保安官)他、各司法機関が賞金をかけて指名手配している逃亡犯の逮捕も請け負っている。
これは、同業者から“カミカゼ”と呼ばれ、任務中は常にパイナプッル(手榴弾)を持ち歩き、今まで死体を連れ帰った事は1度もないFRA唯一の日本人の、真実の記録である。

さて、まずひと言。やっぱりアメリカはすごい! 「面白い!!」と読んでてわくわくする反面、絶対に追われる立場にはなりたくないな、と思った。なぜって、彼らFRAがターゲット確保に使用する武器や手段には、ほとんど制限がないからだ! ターゲットは全て“DEAD or ALIVE”指定で(もっとも、死亡した場合は受け取る賞金が減額されるが)、マシンガン使おうがアサルトライフル使おうが、ロケットランチャー持ち出そうが、自由。盗聴も監視も尾行も、非合法すれすれな事(一部は非合法なのかもしれない。バレなければ良いのだ)もし放題。恐ろしい……。とはいえ、まったくやりたい放題というわけでもない。FRAは保険に入れないし、その世界は実力重視そのものだ。何らかの理由で民間人を巻き込んでしまった場合は逮捕されるし、当たり前だが自分が逃亡犯になっても誰にも庇ってもらえないし、刑務所にも送られる(刑務所内はFRAに恨みを持っている連中の巣窟なので、入れられたが最後、生きて出られる事は滅多にない)。そういう、アメリカの犯罪者に対する考え方や対処法も見えてきて興味深い。
で、著者は自らの体験をそのまま本にしているわけだが、エピソードをそのまま持ってきているので読んでいてたまに「?」となる事があった。ただある程度筋道を立てて並べている感じ。時間の流れを追っていない。まあ、他に何か言うなら、句読点が少ないので文の意味の区切りが捉えづらいか。
この本には著者のこれまでの(主に日本での)人生や、人生観が時折出てくる。手榴弾を持ち歩いているのもそうだが、その生き方には正直“惚れる”(高校生時代のエピソードなんて、凄まじいのひと言に尽きる)。こんな人種がまだこの世にいたんだと、驚き、安心もした。文章とは直接関連はないけれど、写真が掲載されているのが嬉しい。
“漢”を見たい人には、オススメ(笑)