『傭兵のお仕事 The Battle Field Bible』
- 作者: 高部正樹
- 出版社/メーカー: 文芸社
- 発売日: 2001/08/01
- メディア: 単行本
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現役傭兵である著者が、その長年の経験を生かして語る、傭兵の真実を克明に記した一冊。
――なんて、“闘病記”みたいなノリで書いてみたけど。もちろん、そうじゃない。まったく軍事や戦争の知識がない人にも“傭兵”がどんなものか理解してもらう事に重点を置いているので、こんな訓練をして、武器はこんなのが支給される事が多いからこんな風に扱って、戦術はこうだ、と詳しくかつ優しく書かれている。むろん、著者の体験も数多い(本の随所、本の後半。本の後半は、完璧に作戦そのものの経緯を追ったものだが)。時折、その章に関連したミニ漫画(?)が描かれているのも、息抜きになってちょうどいい。
ユニークだと思ったのは、傭兵部隊にやってくる各国の傭兵との付き合い方が書かれていた事だ。まあ、傭兵は正規の軍隊じゃないから、当然といえば当然か。こういうのは、他の傭兵を扱う書物にはあまり見られないと思う。ページの下部に載っている写真(白黒)も臨場感を引き立てる。日時が入っていたりするとなおさらだ。
誤字、脱字、意味のわからない文章が結構多い。それと、専門用語というか造語もかなりある。もっとも、漢字や前後の文章の流れから意味がわからない事もないが、とりあえず読んでいてつまずくというか、違和感。
普通に面白かった。とはいえ、戦場に行く予定はないので(笑)、日常生活で参考になる部分といえば、ファーストエイドとサバイバル技術くらいか。巻頭の「INTRODUCTION」と巻末の「POSTSCRIPT 傭兵という職業」は一見の価値ありだ。著者の“傭兵”についての捉え方、考え方、世間の傭兵への偏見など、いち“傭兵”としての言葉がまとめられている。
日本人傭兵が、平和ボケした同じ日本人に贈る、ささやかな戦争の現実。うむぅ、と唸ってしまった。