第309飛行隊 C格納庫

卯月薫(うづき・かおる) アマチュア小説書き&ゲーム実況(はてなプロフに各URLあり〼)。マンガ、アニメ、映画、小説、ミリタリー、警察、TRPG、猫、ゲームなど。たまに自炊画像。  ※注意※  不適切なコメントは予告なしに削除する場合がありますのでご了承下さい。リアルの常識などは言うに及ばず、ネチケットもしっかり守りましょうw since 2005.12.22 当ブログはAmazonアフィリエイトを利用しています。

『SP』

SP

SP

深夜帯に放送されたドラマとしては異例の高視聴率を記録した同名ドラマの脚本。*1そういえば私も昔同人マンガの脚本を書こうとしていた事があったっけ、なんて過去を懐かしみながら読んだ……というわけでもない(何)
私がこのドラマを初めて見たのは夜勤のバイトの休憩時間中に見た再放送で、再放送を見る以前からドラマの名前と「警視庁SPが活躍するドラマ」くらいの事は知っていて、実際にドラマを見るまでは「ああ、よくある刑事ドラマね」なんていう印象しか持っていなかった。が、言うまでもなくドラマ自体は非常によくできた代物で、なぜ放送当初から視聴しなかったのかと後悔したくらいだ。――まあ、映像の話は「SP」のDVDを購入した時のエントリ*2のためにとっておこうか。


ごたぶんに漏れず、私はこの本を自身の小説を書く技能を磨くための参考になったらいいな、程度の気持ちで購入したのだが、むぅ、読めば読むほどそういうレベルで語れる内容ではない事が実感できた。書き方も展開の仕方もまったく違うドラマの脚本や既に出来上がった映像を見ているという部分を差し引いても、著者がいかにこのドラマに心血を注いだかが如実に現れていて、「こりゃあ面白いドラマになるわけだ」と感嘆せずにはいられない。また著者は無類のアクション映画好きを自負しているらしくそこから得たアクション映画のノウハウ*3がその出所を知っている人間を思わずニヤリとさせる。脚本の内容そのものはアクションや人間ドラマの形をとっていながらも現実社会に対する強い主張*4が時折覗く社会派ドラマの一面も持っていて、これにはううむ、と唸らされた。というわけでおすすめ。
来年には映画版の公開も予定されているらしい。ドラマ本編とスペシャルドラマで残された謎が全て明らかになるのかどうか、期待が膨らむ。


ちなみに私は著者の金城一紀の小説を一冊も読んだ事がない。なのでこの脚本に秘められた“金城一紀らしさ”みたいなものについては言及できないのであしからず。これについては彼の作品を読んでいそうな某友人に主導権を譲るとしよう。

*1:一応“シナリオ本”という風に著者(?)は表現している。

*2:購入する予定はある。

*3:台詞回しや小道具の選定など。

*4:主に政治家のあり方、警察機構のあり方、“正義”って何?