『SP』
- 作者: 金城一紀
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2008/03/04
- メディア: 単行本
- クリック: 55回
- この商品を含むブログ (16件) を見る
私がこのドラマを初めて見たのは夜勤のバイトの休憩時間中に見た再放送で、再放送を見る以前からドラマの名前と「警視庁SPが活躍するドラマ」くらいの事は知っていて、実際にドラマを見るまでは「ああ、よくある刑事ドラマね」なんていう印象しか持っていなかった。が、言うまでもなくドラマ自体は非常によくできた代物で、なぜ放送当初から視聴しなかったのかと後悔したくらいだ。――まあ、映像の話は「SP」のDVDを購入した時のエントリ*2のためにとっておこうか。
ごたぶんに漏れず、私はこの本を自身の小説を書く技能を磨くための参考になったらいいな、程度の気持ちで購入したのだが、むぅ、読めば読むほどそういうレベルで語れる内容ではない事が実感できた。書き方も展開の仕方もまったく違うドラマの脚本や既に出来上がった映像を見ているという部分を差し引いても、著者がいかにこのドラマに心血を注いだかが如実に現れていて、「こりゃあ面白いドラマになるわけだ」と感嘆せずにはいられない。また著者は無類のアクション映画好きを自負しているらしくそこから得たアクション映画のノウハウ*3がその出所を知っている人間を思わずニヤリとさせる。脚本の内容そのものはアクションや人間ドラマの形をとっていながらも現実社会に対する強い主張*4が時折覗く社会派ドラマの一面も持っていて、これにはううむ、と唸らされた。というわけでおすすめ。
来年には映画版の公開も予定されているらしい。ドラマ本編とスペシャルドラマで残された謎が全て明らかになるのかどうか、期待が膨らむ。
ちなみに私は著者の金城一紀の小説を一冊も読んだ事がない。なのでこの脚本に秘められた“金城一紀らしさ”みたいなものについては言及できないのであしからず。これについては彼の作品を読んでいそうな某友人に主導権を譲るとしよう。