■
大藪春彦の『汚れた英雄』といえば(私は全然知らなかったけど)バイク乗りの間ではかなり有名一冊らしく、そんんなわけでご多分に漏れず現在進行形でバイク乗りである父親は、去年の11月辺りから延々とこの『汚れた英雄』を本屋はもちろん古本屋でも血眼になって探していたのだった。――一昨年から本格的なバイク乗りとなった娘のために。
で、今日ついにとある古本屋で『汚れた英雄』を発見したのだけど……それがいきなりシリーズ最終巻ってのは正直どうなのよ? 内容は知らないけど、長年の因縁の相手といきなり決着がついちゃったりするんだよ? いくつもの衝突の果てに心が通じ合った恋人と、レース後唐突に一緒になったりするかもしれないんだよ?
しかし――まがりなりにもバイクを題材にした小説。読むのが楽しみじゃないワケがない。話についていけないのを覚悟で表紙をめくるべきか、それとも1人のバイク乗りの生き様をしっかりと瞼に焼き付けるために全巻揃うのを待つべきか……このジレンマ、手強い。