『双生の荒鷲』
- 作者: ジャックヒギンズ,Jack Higgins,黒原敏行
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1999/05/01
- メディア: 文庫
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以下ネタバレ。
あらすじとタイトル、そしてカバーデザインはいかにもという風だが、空中戦の描写はそれほどでもなく、実は地上の場面のほうが多かったりする。とはいえ、ひとたび実戦となれば臨場感は抜群。ただまあ前半で語られるインメルマンターンのエピソードをして、双子の主人公・ハリーとマックスの二人がどれほど傑出した技倆の持ち主だったかは、当時の機体性能に明るくないので詳しく語れないけれど。もちろん戦争の理不尽さやその中で起きる悲劇にも触れていて、特に後半それが効いてくるようになる。WWIIを時代背景にする作品としては普遍的な話題ではあるものの、単なるお約束ではなく伏線としてうまく用いられている印象だ。この点も上手い。
個人的には主人公たちよりもハルトマンに好感を持った。しかしどうにも役どころが哀れ。いい意味でも悪い意味でも文字通りのちのち裏切られるw まさか自ら戦闘機を駆ってくるとは。とても良い場面だがそれが最
期……登場シーンはあんなにカッコいいのに。
最終章で二人に関する驚きのエピソードが明らかになるが、それを読んで「ほとんど見分けのつかない双子なのをいい事に二人は度々入れ替わって大人たちをからかっていた」という、小説だか映画だかの人物設定を思い出した。あるいはブラック・ラグーンに出てくるヘンゼルとグレーテルか。やはり年の違う兄弟姉妹と双子は違うのかねえ、体験のしようがないけれど。
ところでやたら食事シーンがあって飯テロである(笑 海外小説にはこの手の描写が多いと聞いていたが(その限りでないのも知っているけれど)、これはこれで作品の雰囲気作りに貢献している感がある。まあ主人公たちの食事シーン見るの好きだけどね、小説でもコミックでも映画でも。